第1回控訴審は3月10日10時から

控訴審の日時・場所をお知らせします。

日時:3月10日(木)午前10時~

場所:東京高等裁判所 第101号法廷(一番広い法廷です)

報告会:午前11時15分から
場所:東京都港区西新橋1-9-5 酔心興栄ビル 2階

オンライン配信:ウェビナーID 826 4729 9062
https://us06web.zoom.us/j/82647299062

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change org 【10​.​1判決】教員に違法な残業をさせないでください  

『第1回控訴審は3月10日10時から』へのコメント

  1. 名前:出口研介 投稿日:2022/03/11(金) 16:18:16 ID:e31452378

    FBに書いたものを以下、報告します。
    【「最多教員賃金訴訟」控訴審第1回公判報告:「教員にも残業代を支払え!」(3月10日)】
    《次回は5月26日東京高裁101号法廷です!傍聴席を一杯に!》
    ■3月10日の控訴審第1回公判の報告の前に次回公判の日程を知らせたのは、少し危機感があるからです。控訴審は何回公判が開かれるかは分かりません。多くの場合は一回の公判で結審、次回は判決という場合が多いのです。その場合は殆どが控訴棄却、つまり敗訴です。
    ■今回は次回公判が決まりましたから、この例には当てはまりませんが、それでも第一審より短期で終わるのが控訴審です。この裁判は極めて重要な裁判で、法理論的には弁護団が言っているとおり、一審判決は至る所で破綻しています。「勝つつもりだ」と原告の田中さんは主張しています。しかし、最近の「司法の独立」は怪しいものです。法理論的に勝っていても勝訴するとは限りません。一審判決がそのいい実例です。
     「給特法」があることを理由に教員に無制限の時間外労働を強要している現状を「違法」と言う判決を高裁が出すには、政権への忖度は許さないという世論の盛り上がりがどうしても必要です。その意味で次回の傍聴席を一杯にし、関心を持つものができる限り、この裁判の意義を伝える活動をやらないといけないと思います。労働組合も(日教組も全教も立場を超えて)この裁判の重要性を認識して支援運動に取り組んでもらいたいと思います。高裁判決で一審判決が維持されたら、最高裁でひっくり返すのは至難の技です。そして悪い最高裁判決がでたら、それは教員の権利を、ひいては教育の在り方を、長期間拘束する足かせとして残るだろうからです。
    《一審判決は「不公平!」、教員の労働は自主的という名目の「強制労働」だ!》
    ■控訴審第1回公判では控訴人本人(田中さん)と若生弁護士の口頭陳述がありました。(以下、メモを起こします。不充分不正確な点があるのは私の責任です)
    (田中さん)「3年半裁判をやっていろいろと勉強をしました。被告=埼玉県の考え方も知りました。自分が成長出来たと思っています。今、第一番に言いたいことは『不公平だ』ということです。独法化した国立の学校教員、私立学校の教員には労基法の適用があり残業代が支払われているのに、どうして公立学校教員にだけ同じように働いていても無賃残業なのですか!裁判所は不公平があったら糺すのがのが仕事ではないですか!」「公立学校の教員だけが、いくら時間外労働があっても『自主的にやっている』として労基法上の労働時間とは認められていないのです。民間の労働者と同じように、①教員本来の業務であったかどうか②管理職の管理下にあったかどうかの二つの条件があれば労基法上の労働時間として公平に判断して欲しいと思います。」
    「私は数々の詳細な証拠を出して、勤務時間内には仕事は終わらないということを主張してきました。私の主張に対して具体的に調べることもせず、勤務時間内に終わらせることが出来るとも実証していないのが一審判決です。教員は『限定4項目』以外の仕事を事実上命じられています。それが何故『自主的な労働』なのですか!(時間外労働が発生した場合の)勤務時間の割り振りは実行されていない、勤務時間前の登校指導は間違いなく命じている、休憩時間の45分も取れていない、そのことを裁判所も認めたのに、それでも棄却されました。『不公平です!』。3年半たっても現場は少しも変わっていない、これでは『自主的にやっている』という名目の『強制労働』です。」「教員の勤務時間が8:30より、児童の朝自習が始まるのが8:30、これはおかしくないですか?教員の所定労働時間は7時間45分、児童の最終下校時間は登校してから8時間後、これもおかしくないですか?」「子どもの安心安全の確保は大事です。責任を持たねばならない仕事が増え続いています。子どもが帰宅した後には膨大な仕事が残り、やってもやってもきりがありません。」「時間外労働をする、しないの選択の余地はありません。だから『強制労働』だと言っています。次から次へと仕事が増えても時間外労働を管理する義務が管理職に課せられず、罰も与えられないのです。残業代が支払われないから、こういうことが続いているのです。」
    ■「不公平だ」「選択の余地のない強制労働だ」「何のための司法か!」とう言葉が印象的でした。何度も言ってきましたが2019年1月、中教審の「学校の働き方改革特別部会」の部会長が、給特法問題に踏み込まなかったのは財源問題があるからだとはっきりと言っています。教員の業務を精選したとしても最低9000億円、おそらく1兆数千万円の予算が必要だろうと述べているのです。「金がないから無賃労働でも我慢してね」と言うために被控訴人(埼玉県)は無理な論理を使っています。一審判決も問題があることを認めながら、結論的には原告の請求を棄却しました。どんなにちぐはぐな論理が使われているかは「控訴理由書」が「埼玉教員超勤訴訟・田中まさおのサイト」にアップしてあり、法的に詳しい反論がまとめられています。大変参考になる文書ですから、是非参照してください。
    ■「この裁判を起こした時は本当に一人でした。それが今、私のツイッターに何万人もの反応があるようになっています。全国の教員が『私も同じです』という声を届けてくれるようになっています。」と田中さん。これは勝たねばならない裁判です。現場で働く多くの教員の声を代弁した裁判です。
    《「在校等時間」を管理せよとはどういう意味だ!》
    ■報告会でもいろんな議論が出たのですが、私が「埼玉県の弁明書にこれまでと違う主張はありますか?」と言う質問に若生弁護士と田中さんが同様のことを教えてくれました。
    「時間外労働は『自主的に』やっている労働だから、労基法上の労働時間ではない、だから校長に労働時間管理の義務はないと、今までは曖昧にしか言っていなかったことを、はっきり言うようになっていますよ」とのこと。ここまではっきり言うと大きな問題が残ります。部活動等で勤務時間外におこった事故は管理職の責任外になるということです。
     これに対して別の傍聴支援者の方から、「他方で文科省は『在校等時間』をしっかりと管理するようにと言っていますから、タイムカードが導入され登校時間、退勤時間が管理されています。何を矛盾したことを言っているんだと思います。」という意見が出ました。全くその通りです。
    ■「労働時間」であるものを「労働時間ではない」と言うために文科省や埼玉県がどういう無理筋の論理を使っていることについては「埼玉教員超勤訴訟・田中まさおのサイト」の高橋哲(埼玉大学教育学部准教授)「意見書」を参照してください。「給特法」の問題点の全体を綺麗に整理した内容でとても参考になる意見書です。
     このままでは学校現場の疲弊は止まりません。それは教育そのものが劣化することであり、ひいては子どもの教育権が保障されないということでもあります。たった一人の勇気ある叛乱が大きくなっています。しかし、もっと大きくしないといけないと思います。現場の教員は様々な方法で声をあげてください。日教組・全教等の労働組合はこの裁判から本気で学んで支援してくださいと言いたいです。
    ■2016年に亡くなったイタリアの多彩な碩学、ウンベルト・エーコが『永遠のファシズム』の中で「ファシズムは蝶つがいのはずれた論理を使う」と言っていたことを思い出しました。文科省や埼玉県をファシズムとは言いませんが、どう考えても「論理の蝶つがい」ははずれてしまっています。現実の教員の時間外労働は労基法上の労働時間である、それが少しでもあるなら三六協定を結んで手続きを踏んだ上で、割増し賃金が支払われるべきだという田中さんの主張を反駁することはどう考えても無理筋です。
    (2022/03/11:記:出口研介)
    *実は残業代が支払われるようになっても問題が残ることがあります。
    ①国立の学校が独法化されたため、国の基準に準じて条例を作っていた各県が教員の人数を増やすことをやったとしても、賃金総額を抑えるために、給料表そのものの水準を低くすることが論理上は可能になっています。ここを防ぐ仕組みが必要です。
    ②同じ目的のために正規雇用でなく非正規教員の雇用が進むこと(今もそうなりつつありますが)が更に進むこと、これにも歯止めをかけねばなりません。
    (①②については別の機会にまた報告します。)