現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は、「職員会議で決められたことは校長に命じられた業務」である理由について書きます。
理由1:職員会議は教職員間の協議に基づき、各教職員が自主的に協力するという性質のものではなくなった
平成12(2000)年、学校教育法の改正で施行規則48条で、職員会議の位置付けが変わりました。改正により、職員会議は、学校の管理運営に関する校長の権限と責任を前提として、校長が主宰し、その職務の円滑な執行を補助する機関として位置づけられたのです。
改正学校教育法施行規則48条
・小学校には、設置者の定めるところにより、校長の職務の円滑な執行に資するため、職員会議を置くことができる。
・職員会議は、校長が主宰する。
また、文部科学省からは、上記法令の趣旨を徹底させるため、平成26(2014)年6月27日付で、職員会議の運用について、以下2点を内容とする通知が出されました。
①教職員の互選等により選ばれた議長団等の組織を設置し、校長以外の職員を議長とし、当該議長が職員会議を主宰することは、校長の権限を実質的に制約することから不適切であり、行うべきではないこと
②挙手や投票等の方法により、校長が自らの権限と責任において決定すべき事項について決定したり、校長の権限を実質的に制約したりすることは、法令等の趣旨に反し不適切であり、行うべきでないこと
そして、上記に反する規程や慣行が存在する場合には、速やかに規程や慣行の廃止・修正や学校への指導を行うことを各教育委員会に求めています。
このように、平成12年の改正により、職員会議の性質は大きく変化しました。それまでは挙手や投票など教員の意向が反映される場でしたが、この改正以降、職員会議は教員が話し合いや多数決によって決定する場ではないことが明確となったのです。
職員会議によって決定された事項は、教職員間の協議に基づき、各教職員が自主的に協力するという性質のものではなく、校長が自らの権限と責任において決定した「校長による業務命令」の性質を有しているものなのです。
理由2:たとえ直接的に校長の提案でなくても、承認・決定しているのは「校長」
また、職員会議を経て決定される事項については、校長に任命された「○○主任」を中心とする「○○部会」といった、校務分掌で割り振られた組織・役職によって、会議資料の作成や具体的な業務の提案が行われることが多いと思います。
これらは、学校運営を円滑に行うために校長から任命された職務です。つまり、校長の補助機関としての法的性質を有しています。
各機関では、校長の指導の下、校長の意向に沿った形で種々の業務の計画立案を行い、職員会議において提案が行われます。そして、提案された業務を校長が承認・決定することで、教員の仕事が作り出されます。
したがって、校務分掌で割り振られた組織・役職名により資料の作成や業務の提案が行われていることは、職員会議を通じて各教員に割り当てられた業務が校長によって命じられた業務であることを否定する事にはなりません。
たとえ校長が「命令する」「命じる」という言葉を用いなかったとしても、職員会議で決められたことは教員にとって校長に命じられた業務を意味する、ということです。
十分な意見収集も行わずに企画委員会に提案して、職員会議で反対意見や慎重論が出ても「企画委員会を通ったから」と一般の教員の負担を顧みず、管理職が押し切る事が多くなりましたね。以前のように職員会議で意見を集約して共通理解を図るという様子を知らない若い人ばかりになってしまいました。一緒に戦いましょう。埼玉県中学校の教員です。