#29 判決の問題点9つ


先日、最高裁から上告棄却の連絡があり、埼玉教員超勤訴訟の終了しました。

改めて、ここで本訴訟の判決の問題点を書きます。

①時間管理が不能という点

自立的な職務と指揮命令に基づく職務が日常的に渾然一体になっているため、時間管理が不能であるという判決。高プロ労働者でさえ、労働時間管理義務は課せられています。なぜ教員には労務時間管理義務が課せられていないのでしょうか。私立学校国立付属小学校は勤務時間管理可能で公立学校は渾然一体とする根拠不明が問題です。

②校長の職務命令があったかどうかにすり替わった

原告の超過勤務の認定に対して、時間外勤務を命じることができない超勤4項目以外の仕事であったのかどうかの判断ではなく、校長の職務命令があったかどうかの判断にすり替わってしまっていたことが問題です。

③勤務時間前について

登校指導や朝会時の集合などは明らかに時間外勤務でした。しかも常態化していました。これが国賠法上の違法とならないのが理解できませんし、問題です。

④割り振りは事実上不可能

さらに勤務の割り振りが不可能なほど時間外勤務が常態化しているのにもかかわらず、それに対する処置を怠っている行政に問題があります。

空き時間について

360時間の時間外勤務を認定しておきながら、空き時間にできたはずといういきなり判決に問題があります。原告の空き時間については職務専念義務が課せられていました。しかも空き時間についての原告の仕事状況については全く議論されていませんでした。原告の勤務時間内における自身の仕事についての詳しい説明を求められないままに仕事に携わっていた空き時間を判決に利用されたことは遺憾です。

⑥休憩時間について

教員の休憩時間についても同様です。原告の休憩時間に児童の指導、会議研修等仕事に携わっていた事実が認められています。しかし、それも全ての勤務時間の合算として処理されて判決が出されています。休憩時間が労基法上の休憩時間として裁判で認められていません。私は、歴史的大問題判決だと思っています。

⑦生活時間の軽視について

労働基準法違反に対する判断が、健康や安全確保に限られており、生活時間の確保がおろそかにされているという問題です。

⑧法解釈ばかりに終始した裁判所

教員の時間外勤務は明らかな事実です。自主的かどうかを判断しているのではなく、法律上の理論ばかりに終始している裁判所の在り方に問題があります。

⑨給特法が強者に利用されていることを理解しない裁判所

法律は弱者を保護するために作られているはずです。給特法もそうです。それが強者に利用されている現状を裁判所が理解できていないことに問題があります。

『#29 判決の問題点9つ』へのコメント

  1. 名前:下平恭子 投稿日:2023/04/09(日) 00:34:18 ID:b3f73be71

    授業準備が5分と言われた以上、文科省は全国の公立学校を研究指定校にするのは、やめてもらいたい。集団訴訟に参加します。

  2. 名前:ふむふむ 投稿日:2023/04/14(金) 13:50:12 ID:b0fc68874

    さらに根本的な話になってしまうが、日本に三権分立があるという話は誤りで、立法も行政も与党がになっているし、与党の意に沿わない判決を行った裁判官は左遷されるというのが現実。