文科省へパブコメを送りました

教職調整額を10%に引き上げるなどの提言を行った、先日の中教審の審議について、文科省がパブリックコメントを受け付けるとのことで、私、田中まさおも意見を送ってみました。

①時間外勤務を「労働」と「自主的」に峻別すべき

中教審の審議では教職調整額を引き上げるとのことですが、教職調整額は残業代ではないし、給特法は教員の時間外勤務を自主的労働とする法律ではありません。しかし、今回の審議をみていても、教員の時間外勤務のすべて自主的とする考え方に変わりがないようです。

まず大前提として、給特法下においても公立学校教員も労働基準法が適用されています。

ですから、時間外勤務について、その業務が労働条件を満たしているかしっかりと吟味する必要があると私は考えます。つまり、その時間外勤務を「労働」として扱うべきなのか、あるいは「自主的」なものとして扱われるべきなのかを峻別していくことです。

これまでのようにすべての時間外勤務を「自主的」と扱うのは無理があります。持続可能ではありません。

ですから、時間外勤務のうち、その業務が学校経営上の利益を有しているのならば、それはもう「労働」として認められるべきなのです。

時間外勤務の内容を吟味することをすっ飛ばし、簡単だからと教職調整額を増額しても、現場の教員や学生からの支持は得られませんし、状況は改善していきません。

中教審及び文科省には、まず時間外の勤務内容をしっかりと把握して、それが労働に当たるかどうかを峻別することを求めます。

②労務管理について罰則規定を設けるべき

私の裁判(埼玉教員超勤訴訟)判決でも、部分的ではありますが条件がそろえば教員の時間外勤務も労基法上の労働として認められています。

判決では、校長の指示があり、また勤務時間外に行わざるを得えない(物理的に勤務時間内に行うことが不可能な)場合、給特法下においてもそれは労働として認められたのです。

ですから、上記に述べたように、時間外勤務を「労働」と「自主的」を峻別した後、「労働」として扱うものについては、校長・教育委員会に厳格な労務管理を行わせるべきです。

使用者の労務管理について、現在は民間とは異なり、罰則規定などはありません。しかし、罰則規定を設けなければ、厳格な労務管理は実現しません。ですから、公立学校教員にも罰則規定をもって、使用者(校長・教育委員会)の責任を明確にしていくことが必要だと考えます。

中教審及び文科省は、調整額の増額などというお金で解決するのではなく、給特法が本来求めている時間外勤務を限りなくゼロにする方向に向かうための施策を考えるべきであり、私は上記の2つを提案いたします。

『文科省へパブコメを送りました』へのコメント

  1. 名前:網野厚 投稿日:2024/06/29(土) 23:04:03 ID:479163602 返信

    以下文科省への今回のパブコメです。
    ・文科省自ら始めた#教師のバトンにけじめをつけよ。
    ・「チーム学校」が本気なら記載の「支援スタッフの配置」をいつまでに全ての学校に配置するのか期限を決めよ。
    ・処遇改善について。4%→10%は妥当で納得。が、前提として「審議のまとめ」が実行された場合の話。それができなければ「定額働かせ放題」のまま。現学習指導要領のまま、指導内容も指導時間も積み上げてきた文科省のやり方が変わらなければ「定額働かせ放題」は結局変わらない。
    ・「様々な他の政策を行うことにより教師の時間外在校等時間はの縮減を目指すことが必要である」。これが最大の問題点。勤務した昭和の時代から業務の厳選、精選…が言われてきたが放置されてきたといっていい。現学習指導要領の内容時間を減らし、「『義務標準法』(昭和33年)が制定された当時、概ね勤務時間の半分は指導時数、残り半分は準備を含めた校務に充てる」を法制化しなければ審議のまとめが言うような「時間外在校等時間の縮減」は無理だ。五日制の元で現学習指導要領を実施しようとすれば、「定額働かせ放題」の是正は不可能。
    ・「また、教師の勤務時間には、子供たちが在校している時間と、長期休業期間等子供たちが在校していない時間がある」。前時間には教科指導、生徒指導以外の職務はさせない。それ以外の職務は後者つまり長期休業期間に集中させる。例えば学力調査分析、〇〇集計報告書、地区〇〇研究会、教委主催研修会など。
    ・「公立の小中学校等は~国立私立学校に比して相対的に多様性の高い児童生徒集団となり、より臨機応変に対応する必要性が高い」。簡単に言えば、児童生徒にも保護者にも非常に配慮が必要だということ。この業務が担任一人に偏ることなく本当に「チーム学校」が実現できると思うのか。
    ・学校には新たな級は必要ない。企業、一般行政機関のような細かい職域は馴染まない。
    ・実感として担任の仕事量はそうでない教員より多い。ただ加算されることで「チーム学校」がうまくいかなくなる可能性を否定できない。
    ・「この『審議のまとめ』に記した各般の施策が可能な限り速やか、かつ確実に実行されることが必要である」。正にこれが最大の問題。教採の倍率が多くの自治体で1倍を切り公教育がこのまま崩壊するか、復活するかはこの審議の実行性に懸かっている。2,3年が勝負である。絵に描いた餅にしたら現場は確実に崩壊する。
    ・「おわりに」は素晴らしい!

    「審議のまとめ」が文科省の決断で実行されることを切に願う。