#27 改めて教員の仕事は本当に「自主的」ですか?

いつもご支援ありがとうございます。

昨日、東京高裁より「棄却」の判決が出ました。

判決文(PDF)については、こちらよりご覧いただけます。

今日は、判決を受けての私の思いを述べます。

テストの丸つけは仕事にあたりませんか?

現場の教員たちは、無賃で超長時間労働をさせられています。

(勤務時間後の)児童生徒が行なったテストの丸つけは、仕事にあたらないのでしょうか。

(勤務時間後の)授業の準備は、どうでしょうか。

(勤務時間後の)欠席児童への連絡は?

(勤務開始前の)朝の登校指導は仕事ではありませんか。

これらは、毎日のように行われている教員の仕事です。埼玉県教委ならびに裁判所は、これらの仕事を労働として認めず、教員が「自主的に」やっていることだとしました。

教員の仕事は本当に「自主的」ですか?

しかし、テストの丸つけ・授業の準備、欠席児童への連絡、朝の登校指導などは、本当に教員が「自主的に」やっていることなのでしょうか。

「自主的」かどうかは、本来、教員本人が決めることではないのでしょうか。

しかし、現場の教員たちは、教委ならびに裁判所から「自主的なこと」だとされ、夜遅くまで働かされているのです。

どう考えてもおかしいと思いませんか。

この仕組みは誰が作ったのか。

長い長い年月の間に、日本社会が作ってしまったのです。

午後7時過ぎ(休憩時間なしで既に労働開始12時間経過)に近くの学校に行って見てください。大勢の教員が職員室や教室で丸付けをしています。授業の準備をしています。欠席児童への電話連絡をしています。

これらは全て無賃です。残業代がつかないから残業に歯止めがききません。

昨日の高裁判決で、勤務時間外の丸つけが、授業準備が、欠席児童への連絡が、労働ではなく。教員の「自主的なこと」だと再度確認されてしまいました。

これらは本当に仕事ではないのでしょうか。

これらの仕事が労働として認められずに、遅くまで働かされることを知ったら、あなたは教員の仕事を選びますか。自分の子どもを教員にしますか。周りの人たちを教員にしますか。

今、教員が足りない問題は、このようなことが大きく関わっています。

あとは最高裁のみ


昨日の判決結果で、あとは最高裁判所の判断に頼るしかなくなりました。

最高裁に向けて、私もひと踏ん張りします。

ですから、みなさんももう一度考えてみてください。

「これからもこのままでいいと思いますか」

みなさんひとりひとりが考えてほしい。私はそう思っています。

最後に、今日まで田中まさおをご支援いただきました方々、本当にありがとうございました。皆様のおかげで今日までやってこれました。励まされてきました。

改めて御礼を申し上げます。ありがとうございます。

いつもご支援いただきありがとうございます

twitter@埼玉超勤訴訟 田中まさお

CALL4 クラウドファンディング(「人間を育てる教員に、人間らしい働き方を」訴訟)

change org 【10​.​1判決】教員に違法な残業をさせないでください  

東京高裁 判決文全文

◆判決文

判決文 2022年8月25日 東京高裁(PDF)

控訴審判決要旨(PDF)

 

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#26 高裁判決後の記者会見

現場の先生たちは確実に働かされています。
児童生徒が行ったテストの丸付けは仕事に当たりませんか?
授業の準備は仕事に当たりませんか?
欠席児童への連絡、これは仕事ではないですか?
朝の登校指導は仕事ではありませんか?
 
これらは毎日のように勤務時間外に行われている教員の仕事です。裁判所はこれらの仕事を労働として認めず教員が自主的にやっていることだとしています。
 
テストの丸付けは仕事ではなく教師が自主的にやってることですか?
授業の準備は、仕事ではなく教師が自主的にやっていることですか?
欠席児童への連絡は仕事ではなく教員が自主的にやっていることですか?
朝の登校指導はどうですか?
現場の先生たちは裁判所から自主的だと言われて遅くまで働かされているのです。
 
どう考えてもおかしいと思いませんか。
これらの仕事が仕事として認められないで、遅くまで働かされることを知ったらあなたは教員の仕事を選びますか?
自分の子どもを教員にしますか?
周りの人たちを教員にしますか?
 
今、教員が足りない問題はこのようなことが大きく関わっています。
私は今日の判決結果で、あとは最高裁判所の判断に頼るしかありません。

フモフモニュース『「先生にも残業代を払って!」定年間際に裁判を起こした小学校の先生の思いと“何よりも求めるもの”』に取り上げられました

「先生にも残業代を払って!」定年間際に裁判を起こした小学校の先生の思いと“何よりも求めるもの”(フモフモニュースのリンクにとびます)

#25 健康被害はなくても「生活時間の侵害」を受けている

東京高裁での第二回控訴審においては、労働法の専門家・毛塚勝利先生に書いていただいた『鑑定意見書』を提出しました。

今回は、『意見書』のなかから特に重要なテーマの一つ、「生活時間の侵害」について書きます。

生活時間の侵害

一審判決では、敗訴の要因の一つに私自身が健康的な被害を受けていないということがありました。

しかし、毛塚先生は私も被害を受けていると書いてくださいました。それが「生活時間の侵害」です。

毛塚先生は次のように書いてくださいました。『意見書』からの抜粋です。

「教員の生活時間を侵食していること自体が、労働時間管理義務を怠り法定労働時間遵守義=生活時間配慮義務を怠っていることによる法益侵害なのであるから、国賠法上の違法性を認めて然るべきなのである」

「原告が被った損害としては、過重負担による肉体的精神負荷の増大にかかる損害のみならず、家庭人や市民として健全な家庭生活や社会生活を送る時間、また、教員として自己研鑽をはかる時間、つまり生活時間が侵害された精神的被害をも考慮することが求められる」

「労基法の法定労働時間の遵守は、健康配慮義務の観点以上に生活時間配慮義務の観点からより厳格に労働時間管理が求められると解しうる。1時間の限度時間超えはそのまま1時間の生活時間の侵食を意味するからである」

「労働法における労働時間規制の意味をもっぱら賃金確保や健康安全の確保の観点からのみ捉えてはならないこと、とりわけ生活時間の確保の観点から捉えることが肝要である」

1時間の残業は1時間の「生活時間の侵食」

毛塚先生の「1時間の残業は、そのまま1時間の生活時間の侵食を意味する」という指摘は大変重要です。

1時間の残業は単なる労働時間の増加なのではなく、1時間の生活時間の減少を意味する…、つまりそれだけ生活が侵害されているということです。

何も健康被害がないからといって許されるものではない、ということです。

振り返れば、私自身、長時間労働が慢性化してから、私は何年もの間、家庭での時間、余暇、趣味、友人関係、読書の時間など(教材研究でさえ)生活時間を奪われてきました。

家庭では家族との過ごす時間がなくなり、友人関係にいたっては消滅してしまった関係もあります。また、病気にはなっていないものの、休日は疲れ切っていて、余暇やレジャーなどは他人事になってしまいました。

私同様に、大勢の教員が健康被害まではいかなくても、「生活時間の侵害」を被ってきたのではないでしょうか。

学校現場が1日8時間の労働時間規制を遵守し「生活時間の確保」がしっかりとなされる職場になるような、その後押しとなる判決が出ることを強く望んでいます。

高裁判決は8月25日です。

なお、『意見書』全文はこちらからお読みいただけますので、ぜひお読みください。

弁護士ドットコム『公立小教員の残業代訴訟、控訴審が結審 判決は8月25日』に取り上げられました

公判と報告会について、弁護士ドットコムに取り上げていただきました。

記事とYouTube、ともにご覧いただけたらと思います。

 

公立小教員の残業代訴訟、控訴審が結審 判決は8月25日(弁護士ドットコムニュース)

私(原告・田中まさお)

「この今の日本をおかしいと自分は感じた。だから自分は”自分のけじめ”として訴えたんです。60歳の田中はそのけじめとして『これは絶対に世の中に伝えなきゃいけない。おかしいことをおかしいと自分の感覚で感じたことを伝えなきゃいけない』と自分に対するけじめだったんです。ですが、それがつい最近気づいたらちょっとずつ変わってきたのですが、これは自分のけじめとしてだけでなく、”大人としてのけじめ”なんだと」

担当弁護士(江夏大樹)

「県教委の原告に対しての主張は、休憩時間も取れないような残業は命じていない、自主的業務である、概ねそういう内容です。私たちが「原告が行っている業務についてこういうことをやってますよ」と言っても、『命じていない』『それは認識していない』(不知という)というような主張を繰り返しているというのが埼玉県教委の書面の内容です」

高橋哲先生(埼玉大学・教育法)

「田中先生の意見陳述は、これまで被告がずっと言ってきた『給特法のもとで教員の勤務時間を管理する責任っていうのはないんだ』ということを『それはおかしいでしょう』というものです。県教委のその考え方自体が労基法や給特法をめぐる運用解釈の乱暴さを示しているんだということをあらためて強調いただいた、そういう意見陳述であり、私は力強く聞かせていただきました」

 

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寄付いただいたお金は、弁護士費用や専門家に依頼する意見書などに使わせていただきます。

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(高裁)第2回裁判資料

2022年5月19日

<原告側>

控訴審準備書面1(PDF)

控訴審準備書面2(PDF)

毛塚勝利先生意見書(PDF)

原告 意見陳述書(PDF)

弁護士 意見陳述書(PDF)

 

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