次回裁判のお知らせです。
12/13(金)10:30〜さいたま地裁C105法廷で行われます。
終了後には報告会も実施予定です。
宜しくお願いいたします。
〜教員の長時間労働に歯止めをかけたい〜
次回裁判のお知らせです。
12/13(金)10:30〜さいたま地裁C105法廷で行われます。
終了後には報告会も実施予定です。
宜しくお願いいたします。
現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は、「教員の働き方改革の解決方法」について書きます。
教員の働き方改革について、よく「人を増やすか、仕事を減らすか」と言われます。
しかし、結論からいうと、私は人を増やすことは抜本的な解決方法にはならないのではないかと思っています。
つまり、仕事を減らすしかないと考えています。
確かに、仕事量が一定であれば、人を増やすことで改善が図れるでしょう。
しかし、いくら人を増やしたところで、仕事量の上限の定めがなければ(あるいはあったとしても形骸化していれば)、人が増えたところで仕事も増えてしまい、意味がありません。
実際、労働基準法で定められた1日8時間という上限があるにもかかわらず、現実には形骸化しているのが学校現場の実情です。
校長の労務管理を充分な権限により指導・監督する機関がなく、教育の仕事には終わりがないからです。
いわば現状は、校長の”仕事増やし放題”が許されている状況にあるのです。
教員の働き方改革によって、何より重要なことは「仕事を減らすこと」に他なりません。
具体的には、
などを行っていくことが必要なのではないかと私は考えます。
以上のように、教員の働き方改革の解決方法は、校長の”仕事増やし放題”を規制し、仕事量を減らしていく、これしかないのです。
現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は、「教員が17時以降に行っている仕事」について書きます。
先日の第5回裁判で私は、勤務時間内を大幅に上回る仕事量を与えられている、その根拠として『担任教師の毎日の勤務状況』を示しました。
この『担任教師の毎日の勤務状況』は、各時間ごとに教員が行っている仕事を箇条書きにしてまとめたものです。
(裁判所に提出したものは、こちら(PDF)から見ていただくことができます)
今日はこのなかから、勤務時間外の17時以降に行っている仕事について取りあげます。
私が一つひとつの仕事を挙げていった結果、教員は勤務時間外に53もの仕事を行っていることが明確になりました。
以下、その53の仕事です。
勤務時間外にこれだけの仕事をしながら、教師には残業代が出ません。
私の裁判は、教員にも残業代が支給されるようになることにより、教育行政・校長に仕事量を抑制するインセンティブを与えようとするものです。
私の裁判や教員の働き方について、興味をもっていただけたらと思います。
※教員の皆様へのお願いがあります。私が上記に挙げた53の仕事以外にも、17時以降に行っている仕事があれば教えてください。よろしくお願いいたします。
現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は、先日の第5回裁判で私が主張した、「給食時間中に他の事務作業はできない」ことについて書きます。
埼玉県教委は、第1回裁判で、教員の仕事は勤務時間内で十分に収まるものであり、『給食指導中においても事務作業をすることが可能』と主張しています。
給食指導や清掃指導が不可欠な事は確かであるが、給食や清掃の作業は高学年になるにしたがって児童に任せられる部分が多くなり、時間中、常に児童に対する指導業務に従事する必要がなくなる。教員自身が給食を食べ終わった後、児童の様子を時々観察しながら、事務作業をすることも可能であり、実際に行っている教員もいる。(第1回裁判答弁)
この埼玉県の主張に対し、先日の第5回裁判で私はそれは不可能であると反論しました。
なぜなら、「給食指導」のやり方は、校長が主宰する職員会議において、以下に述べるように非常に細かいルールが定められており、教員にはかかるルールを遵守し児童を指導することが命じられており、他の事務作業を行う余地などないからです。
①給食配膳中は児童に無言で配膳させなければならない。
②給食は、配膳室から教室前の廊下まで、教員がワゴンを運ぶことになっている。さらに、熱い食缶は、児童には運ばせず、教員が配膳台の上に置くことになっている。
③アレルギー児童がいる場合には、除去食の配慮が担任教員の仕事である。除去食カードをチェックし、配膳をチェックし、カードを提出する必要がある。除去食対応は、少しの間違えも許されない、非常に責任の重い仕事である。
④給食の残菜についても、児童による残菜をできる限りなくすことが、校長からは求められている。校長は、給食室から毎日、残菜量の報告を受けているため、教員は、残菜をなくすことにも神経を注がなければならない。
⑤担任は、給食当番確認表のチェックも行う必要がある。担任は、毎日、給食着のチェック、手洗いのチェック、爪のチェック、病気のチェック等を行い、チェック後に担任印を押している。この確認表は、月末に学校に提出する必要があるため、チェックを怠ることは許されない。
⑥さらに、給食の片づけ方についても非常に細かいルールが決められており、教員は、食後の片づけ指導と片付けチェックを行う必要がある。担任は、食器の返し方、牛乳パックの折り方・ビニール袋への入れ方、ストローの返し方、ジャム袋・アルミホイル類・残菜等の処理の仕方等をその都度指導して、児童の片づけを毎日チェックする必要がある。
⑦そして、全てのチェックを終えた後は、担任自ら、配膳室まで給食のワゴンを運ばなければならない。
このように、給食時間中の給食指導は、校長によって命じられていた業務であり、「給食指導」の業務に集中しなければなりません。給食時間中に事務作業をすることは、不可能です。
詳しくは、第5回裁判資料に私の主張の全文があります。お読みいただき、SNS等で話題にしていただければ幸いです。
本日はありがとうございました。
本日の私の主張、埼玉県の答弁全文は、第5回裁判資料にアップしていますので、お読みいただくことができます。
SNS等で話題にしていただけると有難く存じます。
次回は、12月13日(金)10時半〜さいたま地裁です。
現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は、「授業準備の時間を与えられていないのにその授業を評価されるおかしさ」について書きます。
私が勤務する埼玉県では、人事評価制度を導入しており、校長は教員の授業を見て、評価することが義務づけられています。
そして、その評価により、教員の給与が決まります。
そのような重要な評価にもかかわらず、私の勤務校ではその評価のもとになる授業の準備時間は確保されていません。(他の多くの学校でも同様ではないでしょうか。)
私の勤務校では、勤務時間内には1日35分間しか事務仕事をできる時間はありません。
〜16:00 児童の下校指導終了
16:00~16:20(20分間)事務仕事が可能な時間 16:20~16:45 休憩時間 16:45~17:00(15分間)事務仕事が可能な時間 17:00 勤務終了時刻 |
※私の裁判では埼玉県は児童の在校時間にも事務仕事は十分可能だと答弁してきていますが、ここで表した時間はそれは不可能であるという私の主張をもとにしています。
計、35分間です。
しかも、この35分間はあまり存在しない会議がない日でかつ保護者からの電話などの突発的な仕事が入らない条件下における時間です。
言うまでもなく、授業の準備以外にも校務分掌や学級事務など教員の仕事は他にもたくさんあります。
つまり、実質的にこの35分間において、1日6時間の授業の準備を行うことは不可能です。
よって、学校における教員の評価は、「勤務時間外に行う仕事」をもとに校長により評価を下されている、ということです。
仕事を行う時間を与えられないのに評価を下されるという、このようなことが平気でまかり通っている学校の常識(校長のマネジメントの怠慢)に対し、『おかしい』ということが私の裁判の目的の一つでもあります。
次回裁判のお知らせです。
次回は、9/20(金)11:00〜さいたま地裁C105法廷で行われます。
終了後には報告会も実施予定です。
宜しくお願いいたします。
現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は、「45時間ガイドライン」についての所感を書きます。
全国各地の教育委員会から教員の働き方改革として「45時間ガイドライン」に取り組むことが発表されています。
(出典:教育新聞2019年5月23日)
これは、これまで無定量に労働時間が増え続けていた教員の働き方改革として文科省が1月に打ち出した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」をもとにしたものです。
なぜ残業上限が月45時間なのかというと、民間労働者を対象とした『働き方改革法』の残業上限が月45時間だからです。
教員は『働き方改革法』の対象ではありませんが、この法律に残業上限を合わせたのです。
同じ残業月45時間でも、教員と民間労働者には、一点、大きな違いがあります。
それは、民間労働者には支給される残業代が、教員には支給されないということです。
つまり、このガイドラインの意味するところは、「教員には残業代は出さないが、45時間までは残業をするように」ということなのです。
この点について、私は明らかにおかしいと思っています。
給特法によれば、超勤4項目(修学旅行・災害対応などの4つの仕事)を除き、教員については次のように時間外勤務は一切命じないことが原則として定められています。
教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとすること。
(出典:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)
にもかかわらず、このように月45時間の残業を許容する取り組みを提示する文科省はどういった論理を根拠としているのでしょうか。
文科省はいわゆる「包括解釈」を採っています。
どういうことか。
(本来、存在させてはならないはずの)超勤4項目以外の時間外労働についてまで、(超勤4項目に対応にしているはずの)教職調整額を支給しているのだから問題ない、教職調整額は超勤4項目外の業務までを「包括」して評価している、という論理です。
これまで教員の残業について、「教員の自主的活動」であり、労働ではないという立場を採ってきましたが、最近は「超勤4項目外の業務についても、勤務時間を超えることもある」としているのです。
なお、私の裁判でも埼玉県教委は、文科省のこの理屈を下敷きにして答弁してきています。
教員の職務及び勤務態様の特殊性を正規の勤務時間の内外を問わず包括的に評価した結果として「教職調整額」を支給している趣旨からすれば、教育職員の勤務が正規の勤務時間外に及ぶことがあったとしても、そのような勤務の存在は、給特法の前提とするところであって、これを否定するものではない。
(出典:埼玉県教員超勤裁判 埼玉県教委答弁書)
百歩譲って包括解釈がまかり通るとしましょう。教職調整額が超勤4項目外の業務の残業代までを含むものとしましょう。
しかし、教職調整額と残業時間の整合性もとれません。
教職調整額の給与の4%という額は、1971年の給特法制定当時の月10時間程度の残業をもとに決められたものです。
つまり、百歩譲って包括解釈が成立するとしても、本ガイドラインは「月10時間程度の残業代で月45時間働かせようとしている」ことに他ならないのです。
教員の業務は”特殊”であるとして、残業代が出ません。
しかし、本当にそうでしょうか。
超勤4項目を除けば、教員の労働と民間労働者の労働に差異はないのではないでしょうか。
残業させたいのであれば、労基法に則り残業代を出す、なぜこのようなシンプルなことが教員にだけ適用されないのでしょう。
合理的な理由がなく、教員だけに残業代を出さないことについて、私は『職業差別』だと考えます。
現在、埼玉県教育委員会に対し長時間労働の是正を訴えるため超過勤務訴訟を起こしている、小学校教員・田中まさおです。
今日は私の勤務校で行われている、「教員の超勤問題は校長に責任がある」ということについて私の考えを書きます。
教員の超過勤務問題について、文科省や教育委員会に責任があるという声があります。
確かに学習指導要領を決定したり、各種調査の実施したりしているのは文科省や教育委員会です。私も彼らにまったく責任がないとは思いません。
しかし、現場の使用者、責任者はあくまでも校長です。
学校のことはすべて校長に決定権があります。私の考えでは、教員の超過勤務問題について、第一義的な責任は校長にあります。
文科省や教育委員会は毎日学校に居るわけではないし、仕事を減らすことができるのは校長だけだからです。
もちろん、法的にも校長には労基法や労働安全衛生法を守る責任があります。
文科省の教員を対象にした調査に、最も負担感のある仕事は何か、問うた調査があります。
結果は、「文科省、教育委員会から依頼される調査が最も負担感がある」というものでした。
本来、このような仕事に対して、教育委員会に対し校長は現場の使用者として、仕事を拒否するか、人員を要求するのが校長の仕事のはずです。
現場の使用者として労基法を遵守する責任がある校長に教員を働かすことができるのは7時間45分であり、それ以上の仕事をふられても困るのは校長のはずだからです。
しかし、現実には労基法を無視し、無定量に働かすことが常態化する労働文化のなかで、教育委員会の仕事を安請け合いし、追随する校長ばかりです。
労基法を無視し、無責任に教員を働かせる校長に対しては、もっと強く批判されるべきだと私は考えています。